この大空に、翼をひろげて

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ネタバレあり

ブランド: PULLTOP

  • シナリオ: 9
  • キャラクター: 6
  • 作画・BGM: 9
  • オリジナリティ: 8

(switch版プレイ)

全体の感想

このゲームは風景作画がとにかく素晴らしい.ゲームを開始してまず目に飛び込んでくる風車の丘の場面,緑と青のコントラストに少し異質な風車が立ち並び,大きなインパクトともに期待感を抱かせてくれます.ここの風車がポイントで,このゲームは理系的な要素が多分にあるのですが,その象徴のような存在ではないでしょうか.

主人公である水瀬 碧は正直言って大した特徴も無いのですが,いわゆる良い人の象徴のような感じで,個人的には感情移入がしずらいキャラクターではありました.それでも本作は全体的に青春の王道ストーリーを描いているわけで,それにふさわしい主人公であるとは言えます.

全くの個人的な考えではありますが,この手のノベルゲームは二つに大別されます.一つが理想的世界を描いた物語,もう一つが現実を描き,共感を誘う物語であり,本作は理想的世界,すなわち多くの人が経験したくてもできないような青春を描いてあるものです.理想的世界に没入できるようなイラスト,背景作画,BGM,テキスト,そしてシナリオが高いレベルで完成されており,広く人におすすめできる名作と言えます.逆に言えば,特定の人に深く刺さるような作品ではありませんが,それでもノベルゲームとしての完成度は非常に高いものです.

さて,私がこの作品について最も主張したい点は,ルートごとの違いが大きすぎるという点です.小鳥ルートとそれ以外の落差が大変大きく,はっきり言って小鳥ルートをやればこの作品の8割を楽しんだようなものです.本当に小鳥ルートの出来が良すぎますね.小鳥はキャラクターデザイン的には別段特徴があるわけでは無いのですが,それをここまで魅力的なヒロインとして描くというのは相当なシナリオライターの腕があります.

本作はグライダー作成の部活,ソアリング部を舞台にしているわけですが,私自身機械航空系出身ということもあり,本作で説明されている理系的な話は比較的受け入れやすいものでした.しかし,全くの知識が無い人が説明を受けて,把握できるものなのかは疑問が残る点です.もちろんこのような理系的背景というのは物語の雰囲気を形づくる重要な要素であることには間違いは無いのですが,どうなのでしょうか.まあ別に理解が必要なものかと言ったらそうでもないので,理解できなくてもシナリオを進めていく上では支障はありません.

まとめると,あらゆる点で完成度が非常に高い作品ではあり,小鳥ルートは必見,といったところでしょうか.

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